こんにちは、てっぺい(@teppei_bestlife)です。デイサービスを開業して約10年。実地指導というものにビクビクしながら運営を行ってきましたが、そんな実地指導も大きく形を変えようとしています。
その名称が「運営指導」に変わったのです。
「実地」という名前がついていると実際の場所(デイサービス内)で指導しなければならず、役所の人たちにとっても煩わしかったのでしょう。ICTの活用が叫ばれているこのご時世、もっと効率よく指導をしていこうという流れの表れだと思うので、個人的には大賛成。
今後、指導方法はどんどん変化していくと思いますが、現時点では「運営指導マニュアル」に沿って指導されることになるんだろうと予想しています。
ということで、本記事ではマニュアルを基に運営指導がどのように行われていくのかを読み解いていこうと思います。
- 実地指導から運営指導へ名称変更
- 運営指導でチェックされること
- 運営指導の頻度
- おまけ「運営指導マニュアルの要点」
①実地指導から運営指導へ名称変更
これまで行政指導は原則「実地」で行うこととなっていましたが、実地でなくても確認できる内容(施設・設備や利用者の状況以外など)はオンライン等を活用することもOKとなったため「運営指導」という名称へ変更となりました。
運営指導に名前が変更となったとはいえ、行政機関の担当者が現場で実態を把握するなど実地での指導が行われることはありますので、その点は勘違いなさらないようにお願いします。
②運営指導でチェックされること
今回、厚生労働省より「確認項目及び確認文書」というものが出されました。これは指導の標準化や効率化を図る狙いがあり、原則としてこれら以外の項目・文書の確認は行わない形になりました。つまり、日頃からこの「確認項目及び確認文書」を基に事業所の運営を行なっていれば運営指導は怖くないということになります。
- サインの入った重要事項説明書があるか?個人情報同意書はあるか?
- 担当者会議の議事録はあるか?特に初契約と介護度更新の際の議事録。なお、会議の日付が初通所より前になっているかも確認が必要。
- サービス提供記録は毎回書かれているか?具体的なサービス内容が書かれているか?
- 業務日誌はあるか?業務日誌には担当者会議の件数や居宅訪問数、見学数、苦情の数、相談数など1日の事業所の動きを記載しましょう。
- 送迎記録はあるか?要介護の方は送迎減算がありますので、利用者名の記載漏れがないようにしましょう。
- ケアプランはあるか?介護の大原則はケアプランに沿っているかいるかどうかです。ケアプランと内容が相違していると指摘される可能性がありますので要注意。
- 通所介護計画書はあるか?また利用者のサインはあるか?こちらも日付が初通所より前になっているかは要確認。
- デイサービスにおいて大切な流れはアセスメント→計画書→実施→モニタリングを繰り返すことです。ということで、アセスメントシートと計画書とモニタリングシートは同じ枚数ないとおかしいのでチェックしてみてください。
- 全職員の出勤簿(タイムカード)は毎日つけられているか?
- 勤務形態一覧表に関しては予定だけではなく実績が必要です。
- 従業員の資格症は保管されているか?
- 利用者の介護保険証コピーは保管されているか?
- 利用者自己負担分の領収書コピーが保管されているか?ここで注意が必要なのは医療費控除の記載について。基本的にデイサービスの利用料は医療費控除の対象になりませんが、条件を満たしている場合、医療費控除の対象になります。その条件は、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション、短期入所療養介護とデイサービスを併用していることとなります。医療系のサービスを使っている場合、デイサービスの費用もガッちゃんこできるぐらいに思っておけば良いと思います。
- 各種マニュアル(緊急時対応マニュアル・ハラスメント規定・非常災害時対応マニュアル・苦情対応マニュアル・事故対応マニュアル・虐待に関する指針)があるかどうか?
- 運営規定に以下の項目が定められているか?
- 研修計画と実施記録はあるか?
- 無資格者に認知症介護に係る基礎的な研修を受講させているか?これは2021年4月の法改正で無資格者の介護職員に認知症介護基礎研修の受講が義務化されましたことからチェックされます。2024年3月まで猶予期間がありますが、無資格者に対してははやめに受講させた方が良いかと思います。
- 業務継続計画(BCP)の策定がされているかどうか?こちらも2021年4月の法改正により策定が義務化されました。2024年3月まで猶予期間がありますので計画的に策定していきましょう。
- 避難訓練は実施されているか?半年に1回のペースがベストだと思います。
- 感染症及び食中毒の対策はできているか?委員会設置したり、研修をやったりする必要があります。これも2021年4月法改正がらみ。とりあえず3年間の猶予期間がありますので着々と進めましょう。
- 従業員から秘密保持誓約書をもらっているか?
- 苦情があったときに苦情内容を記載する紙(パソコン上でもOKだと思うが)を用意しているか?
- 事故報告書はあるか?事故報告書内には対応経過の記録、再発防止について記載してあるか?
- 虐待に関する委員会、研修、担当者設置をやっているかどうか?
ここまでがデイサービスの事業所が日々チャックすべきことです。これだけやっていたら運営指導が入ってもかなり楽かと思います。なお、これに加えて、各事業所が算定している加算ごとにチェックするべき事項があります。それに関してはこちらの資料をご確認いただければと思います(機会があればまとめます)。
*デイサービス以外の方はこちらをチェック下さい(こちらも機会があればまとめます)。
③運営指導の頻度
運営指導は原則として指定(もしくは許可)の有効期間内に少なくとも1回以上となっています。デイサービスの場合、指定の有効期間は6年なので、6年に一度は運営指導が入るということになります。なお、下の写真を見てほしいのですが、集団指導に参加していない事業所から優先的にやるようマニュアルに書かれていますので運営指導をなるべく避けたい場合は集団指導への参加は必須ですね。
※施設サービスについては、これらが利用者の生活の場であること等を重視し、3年に1回以上の頻度で行うことが望ましいと考えられているようです。
④おまけ「運営指導マニュアルの要点」
- デイサービスにおける書類の保存年限は2年から5年程度ですが、運営指導においてチェックされる資料は過去1年分程度だそうです。
- 運営指導では利用者の記録などを確認しますが、その対象人数は原則3名以内となっています。事前に指定されるのか?当日、ランダムに持ってくるよう指示されるのか?このあたりはドキドキですね。
- データで保管されているものに関しては、印刷の必要はなく、パソコンのディスプレイ上での確認となります。
- 定期的に開催される集団指導には必ず参加するようにしましょう。集団指導で話される内容は運営指導に直結する内容はほとんどですので。
- 運営指導が行われる事業所へは実施日の1月前までに通知することとなっていますので、十分な準備期間がありますね。
- 運営指導では事業所の良い事例があれば聴取し、取り組みの良い点を伝えるということもあるようです。共に良いサービスを作っていくための場なんですね。
- 運営指導の出席者は必ずしも管理者である必要はなく、実情に詳しい従業者や法人の労務会計等の担当者が対応することもOK。法人内で一番慣れている人がいいですね。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。なお、実際に運営指導が入るときは心構えも大切ですので、これに関してはこちらの記事にまとめてあります。ぜひあわせてご覧ください。