デイサービスの取り組み−生きている間に海の中を見てみたい!半身麻痺でのスキューバダイビング−

●その人にとってのやりたい事とは?

 今回紹介するA様は、脳出血を発症後、リハビックスに通所され、今年で7年目となります。後遺症である麻痺の改善を目的として週2回のリハビリに精力的に取り組まれ、その熱心な姿は本当にすごいなといつも感心させられていました。しかしながら、一方では、リハビリには熱心だが、本人やスタッフが身体機能の向上ばかりに気を取られてしまい、生活の中での「生きがい」や「楽しみ」を見いだせず、生活の質が上がっていかないという課題がありました。
 多職種でこの点を議論した結果、まず働きかけとして、相談員のアセスメントや何気ない日常のコミュニケーションの中で、弊社で発行しているライフスタイサポート(デイ新聞)や他店舗の自立支援に対する取り組み、同じ疾患を持つ方達のチャレンジしている様子などを伝えることとしました。「今の身体状態で何をやりたいか?」を一緒に考えていきました。

 そんなある日、A様との何気ない会話の中で「生きている間に海の中を見てみたいんだよな」という一言が・・・。

●新たなチャレンジの始まり

 その一言をきっかけに、A様ならびに那覇店スタッフのチャレンジがスタートしました。ダイビングへの挑戦です。チャレンジを決めてからのA様は、今まで以上にリハビリへ積極的に取り組まれるようになり、トレッドミルでの歩行練習を行う際には、ダイビングの動画を見ながら実施するほどでした。一方、事業所側の動きとしては、半身麻痺の方でもダイビングを受け入れてくれる業者の選定から始まり、主治医やご家族への説明・相談を丁寧に実施しました。業者選定は非常に難航しましたが、宜野湾市のダイビングショップがサポートしてくれることとなり、ついに運命の日を迎えました。

●いざ海へ!

 当日を迎えるまでは、不安と緊張が入り混じった面持ちでした。しかし、実際にウェットスーツを着け、準備が進むにつれて真剣な表情に変化していきました。通所では見ることのできない表情だなと感じたのを覚えています。そして、ついにインストラクターの方と一緒に海の中へ。

口呼吸がうまくいかなかったこと、普段拘縮が出ない場面で出たことなどいくつかのハプニングはありましたが、海の中を見ることができ、大成功だったのではないかと感じています。A様の表情にもそれは現れており、実に晴れやかで達成感に満ち溢れていました。また、『この体験を僕と同じような障害を持っている人に伝えてほしい。障害を持っていることが邪魔をして、何かをしたい!と言えない人たちがたくさんいると思うから。』と力強くおっしゃられる姿を見て、A様の中で何かが変化したなと感じました。

●新たな目標

 実は今回、数名のスタッフも一緒にダイビングをしたのですが、そのうちの一人が「これを麻痺のある状態でやるなんて信じられない。すごすぎる。」と語っていたのは良い思い出です。また、SNSにこの件を投稿すると「凄いです。鳥肌です。やり遂げましたね。」「涙が出る!元気なお顔を見れて最高のプレゼント。私まで嬉しくなります。」「おめでとうございます。他のご利用者様の目標となりますし、意欲の向上に繋がりますね。」などの声を聞くことができ、本当に凄いことにチャレンジしたんだなと改めて感じています。そんなA様の次の目標はゴルフ。色々な課題が出てくるかもしれませんが、スタッフ一同、達成に向けて全力でサポートしていきます。


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