こんにちは、てっぺい(@teppei_bestlife)です。
現在、リハビリ特化型デイサービスを12箇所、訪問看護ステーションを2箇所、自費リハビリ施設を2箇所運営しています。
そんな中、最近、以下のツイートをしました。
年齢を重ねるにつれて人間の身体は老化が進み、結果として様々なリスクが表れます。その一つが転倒リスク。転倒はリスクの中でも身近であり、かつ危険性が高いものの一つであり、デイサービスにおいてはどうやって転倒を防止するか?ということに関して日々議論されていることと思います。
でも、本当に「転倒」ってだめなんでしょうか?それって仕方がないことなんじゃないの?転倒ゼロを目指す必要があるんでしょうか?なんてことを思っているので、今回はデイサービスにおける転倒をテーマに原因や予防策からみた対応方法をまとめました。
- 転倒とは?
- デイサービスでよくある転倒ケースは?
- 転倒を防ぐ方法は?
- 転倒に対するデイサービスでの取り組み
- まとめ
①転倒とは?
まず転倒とは何かをググってみました。「ひっくり返ること」だそうです。つまずいたり、滑ったりすることで倒れ込むことを意味します。介護・医療の場では必ずと言っていいほど耳にしますよね。合わせて使用される言葉に転落がありますが、転落は「乗っていたものから落ちる」ことを指します。ベッド上で寝がえりをうった弾みに床へ落ちることは転落ですが、ベッドから立ち上がろうとして前のめりにこけることは転倒となります。
②デイサービスでよくある転倒ケースは?
●自宅と送迎車の移動中・送迎車への乗降時の転倒
自宅と事業所をつなぐ送迎をする際、玄関から送迎車までの道のりは不整地である可能性が高く、転倒リスクが高いと考えられます。ご利用者宅の段差や上がり框、送迎車自体の段差など転倒が想定される箇所は様々です。また、朝のお迎えのタイミングは起床後間もない場合があること、お送りする際は疲労感から足が上がりにくいことがあるなど、ご利用者自身の変化によりリスクが増大することも忘れてはいけません。
●デイサービス入り口での転倒
入り口が完全バリアフリーになっている事業所は良いのですが、多くの事業所がデイサービスの入り口にちょっとした段差があるのではないでしょうか?この数センチの段差につまずいて転倒するケースは多々あります。また、玄関で靴から上履きに履き替える事業所では、靴の脱ぎ履き時に転倒が起こります。そこに椅子があると思ったら無かった!立ったまま靴を履こうとしたらバランスを崩した!あるあるではないでしょうか。老化による身体機能低下の他、自律神経失調症や血圧変動でふらつきが起きやすいご利用者も多いため、立ち上がり時にも注意が必要ですね。「まだまだ自分は若い」と感じているご利用者や認知機能低下がみられる利用者さんには要注意ですね。
●施設内にあるちょっとした障害物
僕らの施設はリハビリに特化したデイサービスなので様々なリハビリマシンが置いてあります。そのマシンのちょっとした出っ張りや脚につまずいて転倒することは多々あります。また、テーブルの上で電源を使うためにたまたま延長コードがひかれていたりと普段とは違うシチュエーションの場合、それに気がつかず転倒という事例もあります。
●車いすでの転倒
車いすに乗っていれば転倒リスクがゼロになる、なんていうことはありません。立ち上がり時、フットレストに足を引っかける、ブレーキのかけ忘れで車いすが動いてしまうなど転倒が起こる要素があります。離れた場所にあるものを取ろうとして前のめりに転倒してしまう可能性もあります。
●お手洗いでの転倒
立ち上がり動作に加え、下衣をずらした状態で不安定になりやすいのがお手洗いです。用を足した後、トイレットペーパーで陰部を拭こうとする際は中腰の態勢となるため、体重移動が疎かになれば前方へ倒れ込むことがあります。また排便時に血圧が低下し、起立時にふらつきを起こす場合もあるため注意が必要です。
●浴室での転倒
床面が濡れており、滑りやすくなっている浴室は転倒リスクが特に高い場所になります。浴室・浴槽・脱衣所など、すべてにおいて滑りやすい場所と思っていてもよいでしょう。入浴介助時はご利用者だけでなく介護者側も滑りやすい場所であるため、咄嗟の対応が取れない場合もあります。
③転倒を防ぐ方法は?
転倒は事前に兆候がない上、心身レベルが異なりかつ様々な疾患を持った利用者が集まるデイサービスという特性上、完全にこれを防ぐことは難しいと言えます。ただし、転倒が発生しやすい場所・要素などはある程度予測ができるため、転倒予防の手すりやスロープ、滑り止めマットなどハード面を整備することは必須だと思います。また、各利用者の疾患や身体状況を各職員でしっかりと認識し、それぞれのご利用者に対応した介助や誘導が必要です。事前の情報だけでなく、その日その日の体調や心情の変化で転倒リスクが変化することも念頭に置いておかなければなりません。「どんな人でも転倒するかもしれない」と考え、ADLが自立しているご利用者でも転倒リスクがあることを把握しておきましょう。
デイサービスは限られた職員で利用者に対応するため、職員の目が届かない場面での転倒が多く発生します。フロア内で人手が足りなくなってるなと分かっているメンバーはいても大声を出すわけにもいかず・・・わざわざ呼びにいっていては余計に人数が減る・・・ということもありますので、最近、当施設においてインカムを導入してみました。職員間の連携がスムーズになれば転倒を防げるかも?というのが狙いです。導入することによるメリットもあればデメリットもあるようなのでもう少し試してみて記事にしてみたいと思います。
④転倒に対するデイサービスでの取り組み
「転倒しないように!転倒しないように!」と過度に心配しすぎると、利用者さんを萎縮させ、活動や参加の妨げになる可能性があります。それでは本末転倒です。デイサービスの役割は心身機能・活動・参加にバランスよく働きかけて、利用者の生活の質(QOL)を向上させることなのですから。そういった観点から僕らのデイサービスで取り組んでいるのが「転倒した後の立ち上がり訓練」です。
詳細に関してはこちらの記事に書いているので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
⑤まとめ
転倒ってダメなの?っていうテーマで記事を書いてきましたが、もちろんダメです。じゃあ、ゼロにしなきゃってなるんですが、究極的に転倒を防ぐには「動かない」が一番となってしまいます。だからといって、ベルトや柵を用いることは身体拘束になることはもちろん、極力移動をさせないよう車いすに座らせたまま、ベッドに寝かせたままではデイサービスを利用する意義にも関わってきます。ご利用者の意向を踏まえ、身体機能を維持向上し生きがいを持って頂けるよう転倒予防策を徹底することは事業所の責務です。転倒を無くすことよりもどう減らすかを考えること、起きた時に迅速に対応できるようマニュアルを整備することが転倒予防の第一歩となるのではないかと思います。
これをきっかけに、デイサービスで働く方々が「転倒」に関してみんなでディスカッションしてもらえたら嬉しいです。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。