訪問看護師が「終末期ケア専門士」を取得するメリットとは?

こんにちは、てっぺい(@teppei_bestlife)です。

先日、訪問看護ステーションの看護師さんからこんなことを聞かれました。

「何かスキルアップできる資格ってありますか???」

どういう観点でスキルアップしたいかによりますが・・・その際に僕が回答した一つが「終末期ケア専門士」。相手は「えっ?なんですか?」という反応でしたので、あまり知られていないんだと感じました。

現在、僕たちは訪問看護ステーションを2ヶ所運営していますが、「看取り(終末期)」の依頼が非常に多いです。

「人生の最後を自宅で過ごしたい。でも、自宅で最後を迎えることの不安・・・」

そんな本人や家族を支えるために、看護師がご自宅を訪問してサポートしています。今後、この依頼は増え続けると予想しており、ここに直接関わる資格として「終末期ケア専門士」は良い学びになるではないかと思っています。

ということで、今日は、訪問看護師が終末期ケア専門士を取得するメリットと取得方法について記事にしていきたいと思います。

本記事は看護師のモロミズマコトさんに記事執筆のご協力をいただきました。
感謝。

目次
  1. 終末期ケア専門士とは?
  2. 訪問看護師が終末期ケア専門士を取得するメリット
  3. 資格取得までの流れ
  4. 試験要項
  5. 学習方法

①終末期ケア専門士とは?

終末期ケア専門士とは、一般社団法人日本終末期ケア協会(JTCA)によって2020年に新設された民間資格です。主に医療・介護に関わる職種を対象に「エビデンス(根拠)に基づいた臨床ケアができる人材」を育成することを目的としている資格です。

②訪問看護師が終末期ケア専門士を取得するメリット

1.自宅でのお看取りに関する需要が高い

日本財団の2021年度の報告書によれば、どこで看取られたいかという問いに対して55%以上の人が「自宅」と答えています。報告書はこちらです。

自宅でのお看取りに関しては在宅医の数などの問題もありますが、少子高齢化社会が進む日本では、財源不足などの要因で、自宅で最後を迎える方が増えていく可能性は十分にあると考えられます。したがって、それぞれの高齢者が望む終末期を提供できるスキルは訪問看護師にとって非常に重要であると感じます。また、昨今、高齢者の介護に関わる人への資格取得を推奨している記事も多く見かけますので、この資格の需要は高いのではないでしょうか。

2.終末期に寄り添う看護師として必要な知識が身につく

本資格の公式テキストを拝見すると、概論からはじまり、チームケア、日常生活におけるケア、身体症状別のケア、家族ケア、意思決定支援、スピリチュアルケア、グリーフケア、看取り期のケア、終末期を取り巻く社会資源、疾患別終末期ケアが学べます。身体症状別のケアというのは、家族への知識提供として訪問看護師が知っておくべき知識であるし、家族ケアや意思決定支援など普段曖昧な態度でしてしまうことについても、知識として習得しておくことで家族への対応力も上がると思われます。家族との連携が不可欠な訪問看護においては心強い知識となるでしょう。

訪問先の家族とのコミュニケーションが円滑になる
終末期ケア専門士のテキストには「意思決定支援」や「家族ケア」に関して学ぶ項目があります。訪問看護師は病棟看護師とは違い、家族との距離が近い。そのため看護師から発せられる言葉一つで家族との関係を良好にすることもあれば悪くすることもあります。上記を学んだからといって100%家族とのコミュニケーションを円滑にできるわけではありませんが、一つの知識として頭に入れておくことで家族へ提案する選択肢が増えることは間違いありません。選択肢が増えることで家族の思い描く看取りを実現できる可能性がアップしますので、勉強していて損はないでしょう。

3.合格率が高い

本資格の合格率は65%ほど。テキストだけでなくも動画視聴もあり、勉強の仕方に悩むことも少なそう。比較的簡単に合格できるというのはメリットだと思っています。

4.敷居が低い

看護師であれば色々なスキルアップを考えている人は多くいますが、実際に資格取得に向けて動けている人は少ない印象です。その原因の一つに「敷居」の高さがあります。「○○学会に所属者に限る」「年に一回東京での講演参加」「修士課程修了者のみ」「○○が主催する講演に○回以上出席」などなど、忙しい業務に加え、プライベートでも家事・育児をこなす人が多い看護師には敷居が高いと言わざるえない資格ばかりのため諦める人が多いと思います。それに比べて、終末期ケア専門士は2年以上の実務経験があれば、あとはテキストを購入して勉強するのみ。また、各都道府県に試験会場があり(全国270か所)、受験のため他県の試験会場へ赴く必要がないことも有難いですね。

5.履歴書に記載できる

現在、一つの病院で勤めあげるという時代は終わり、一人前として扱われる3年を超えるとより良い条件や環境を求めて転職活動をする人が増えてきました。働きながら資格を取ることは難しい中で終末期ケア専門士の資格を取得したという実績は、転職の際、有利に働くことは間違いありません。ご存じのとおり、看護師は新しい知識や技術を身に着けていかなければならない職業です。皮膚の処置一つとっても、10年あれば以前の禁忌がスタンダードになっているなんてこともざらに起こり得ます。そのため常に進化しようとする姿勢が望まれます。転職時に自身は新しい知識や技術を習得するために継続して学習していけるということをアピールできるのはかなりの武器になると思います。

③資格取得までの流れ

試験を受けるためには、まず日本終末期ケア協会(JTCA)の公式サイトから受験申込をし、受験料を支払います。その後、自宅に申し込み書類一式が届くので必要書類(下記記載)をそろえて郵送してください。

提出した書類をもとに受験資格の審査が行われ、通過するとメールと郵送にて受験資格通過のお知らせとログイン用紙が届きます。このときに受験資格を満たしていなければ受験料は変換されます。届いたログイン用紙にてマイページへログイン後、希望の日時と会場を予約して申し込み完了となります。

受験資格
・看護師であれば2年以上の実務経験
※実務は終末期ケア業務を行う者でなくてもOK、また常勤・非常勤も関係ありません。
・罰金以上の刑に処せられた者、業務に関して犯罪又は不正の行為があった者、心身の障害により業務を適正に行うことができない者として厚生労働省で定める者、麻薬、大麻もしくはアヘンの中毒者は受験できません。

合格後に登録手続きをすると翌月には認定証が発行されます。

④試験要項

1.申し込みは4月ごろより開始。試験日時は10月頃予定。
ちなみに、2020年は11月、2021年は10月、2022年は10月開催です。

2.試験会場
CBT方式(パソコン試験)
日本全国270ヶ所のテストセンターで受験可能
パソコン操作は、クリックやマウス操作ができればOK

3.出題数
90問・選択式
制限時間は90分

4.費用
受験料:10,000円
登録料:10,000円

⑤資格取得に向けた勉強方法

試験問題は公式テキストからの出題と時事問題です。基本的には、協会認定の「終末期ケア専門士公式テキスト」に沿って独学で進めていきます。

また協会が開催している試験対策もあります。オンラインで受講可能な動画での講習会です。
※受講には費用19,800円(税込)が必要ですが、継続するのが苦手な方にはおすすめです。


以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。介護×美容も面白いと思っていますので、もしよろしければこちらの記事もご覧ください。

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