こんにちは、てっぺい(@teppei_bestlife)です。沖縄と鹿児島でリハビリに特化したデイサービスをやったり、自費のリハビリ施設をやってりしています。ともにリハビリがメインの施設ということもあり脳血管疾患(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血)の後遺症に悩む方々がたくさん通っていらっしゃいます。
そんな利用者さんや家族の悩みの一つに「お金」があります。
ある日突然、脳梗塞を発症し、身体や言語に後遺症が残り、仕事ができなくなる・・・という方をたくさん見てきました。そんな時、僕がお話するのは「障害者手帳」や「障害者年金」のお話。このことに関して、びっくりするぐらい知らない人が多いです。
障害者手帳が交付されたり、障害年金を受給したりすることで、精神的・経済的な負担の軽減だけでなく、自立や社会参加促に向けて様々な優遇措置を受けられるようになるので、個人的にぜひとも多くの方に知っていただきたいと感じています。
ということで、今回は、脳血管疾患の後遺症で悩まれている方やその家族に向けて、障害者手帳と障害年金の取得方法やメリット・デメリットなどを解説していこうと思います!
- 脳血管疾患(脳梗塞など)の後遺症とは!?
- 脳血管疾患の方における障害者手帳・障害年金の対象者とは?
- 障害者手帳・障害年金取得のメリット・デメリット
- 障害者手帳・障害年金の取得方法と注意点
- 最後に
①そもそも脳血管疾患(脳梗塞など)の後遺症とは!?
脳血管疾患の後遺症は身体的な障害と認知的な障害に分類できます。
■身体的な障害はこちら
運動障害:手足の一部や全身などにマヒなどがあり、うまく動かすことができない等
視覚障害:視野の半分や、一部分が見えない等
感覚障害:身体の一部がしびれる、熱いや冷たいものの感覚が分かりにくい等
嚥下障害:食べ物や飲み物がうまく飲み込めない、むせやすい等
言語障害:声が出しにくい、うまくろれつが回らない、思っていることをうまく言葉にできない、相手の言葉がうまく理解できない等
排尿障害:尿意が分からず失禁してしまう、自力で排泄をすることができない等
■認知的な障害(総称として高次脳機能障害という)はこちら
記憶障害:新しいことが覚えられない、過去のことが思い出せない等
注意障害:ミスが多い、作業が長続きしない等
遂行機能障害:計画通りに行動できない等
社会的行動障害:興奮すると暴力や大声を出す等
この他にも、様々な後遺症があるとされており、その程度も人それぞれとなりますので、気になる方は主治医や高次脳機能障害を専門としている病院の医師等に相談されることをオススメします!
②脳血管疾患の方における障害者手帳・障害年金の対象者とは?
続いて、どんな人が対象になるのか?という話ですが、障害者手帳・障害年金の対象者として共通している点は、発症日(初診日)から6か月以上経過しており、障害の状態が固定されたと医師に診断を受けなければならないことです。
その上で、以下に障害者手帳と障害年金のそれぞれの対象者を記載します。
●障害者手帳の対象者とは?
障害者手帳は、身体障害者手帳・精神保健福祉手帳・療育手帳の3種類があり、障害の程度によってその等級が決められて手帳が交付されています。脳血管疾患の方が取得できるのは、身体障害者手帳と精神保健福祉手帳になります。
・身体的な障害がある方は、身体障害者手帳(1~6級までの障害等級がある)
・認知的な障害がある方は、精神障害者福祉手帳(1~3級までの障害等級がある)
本人の病状によっては、両方の手帳を取得することもできます!また、18歳以前に脳血管疾患になって知的能力の障害を発症した場合には療育手帳(重度、その他の別の障害等級がある)を取得することもできます。
●障害年金の対象者とは?
障害年金は、発症時(初診日)に老齢基礎年金を受給していない方で、国民年金あるいは厚生年金に加入しており、保険料納付済と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上納められている方が対象になります。ただし、20歳未満の方については、保険料納付要件は問われません。
老齢基礎年金は、国民年金や厚生年金保険などに加入して保険料を納めた方が受け取る年金です。65歳以上になったらもらえる年金のことですね。ですので、65歳以上の方で年金をもらっている人は障害年金はもらえないということですね。
国民年金加入者は障害基礎年金(1~2級がある)を、厚生年金加入者は障害基礎年金に加えて障害厚生年金(1~3級がある)を受給することができます。
障害基礎年金1級は年間約98万、2級は約78万を受給することができ、18歳未満の子供がいる場合にはさらに金額加算されます。障害厚生年金の場合は、配偶者の金額加算もあります。
*障害年金は、障害の程度によって細かく認定基準が決まっていますが、今回は分かりやすいよう大まかな内容で表にまとめてみましたので、参考にしてもらえればと思います。
③障害者手帳・障害年金取得のメリット・デメリット
続いては、それぞれのメリットとデメリットです。
●障害者手帳のメリット・デメリットから解説します!
■メリット
・住民税、所得税、相続税の控除
・自動車税が全額免除
・公営住宅入居の優遇
・障害者雇用などのサービス利用
・障害福祉(ホームヘルプ等)サービスの利用
・医療費の助成を受けられる
・身体障害者手帳の場合、杖や車いすなどの補装具、住宅リフォーム費用の助成
・スマホの通信費が割引(ドコモ・au・ソフトバンク)
・電車、バス、高速道路、飛行機の料金割引
・NHKの受信料割引
・市町村によっては車の改造費を負担してくれるところもある
・施設利用料の割引→こちらのサイトに飛ぶと全国の割引施設が調べられます。サイト名「障害者手帳で行こう」https://shogaisha-techo.com/
これらが障害者手帳のメリットです。すごくたくさんありますよね!!!個人的には医療費の補助がめちゃくちゃありがたいと思うんです。助成額は市町村によって違うみたいですが、僕の住む沖縄県の豊見城市は全額助成!宜野湾市は自己負担の半分を助成してくれるようです(それぞれの市町村の詳細情報は下のURLより)。
豊見城市・・・https://www.city.tomigusuku.lg.jp/sp/health/126/2291
宜野湾市・・・ https://www.city.ginowan.lg.jp/soshiki/fukushi/4/iryouhijosei/1342.html
注:障害等級によって利用できるサービスが違い、その他自治体独自に行っているサービスもあるので、詳しくはお住まいの自治体のホームページや障害福祉窓口などに確認してください!
参考までに・・・このYoutube動画、障害者手帳に関して分かりやすく解説しているので参考にしてみてください。
■デメリット
・本人が「障害者である」ということを受け入れていく覚悟
・各種申請するための書類の用意や整理が大変
・精神保健福祉手帳の場合、2年毎の更新が必要
装具の再作成には障害者手帳が必要!
装具の耐久性はプラスチック装具で1〜5年、金属支柱装具で3年ぐらいだと言われています。病院で装具を作製し、退院した後に装具が破損した・・・身体に合わなくなった・・・などの不具合が生じた場合、再作製または修理を行う必要がでてきます。その場合、公的な補助(支給)を受けるには、障害者手帳を取得する必要があります。これは、年齢に関係なくです。この点は押さえておく必要がありますね。
●次に障害年金のメリット・デメリットを解説します!
■メリット
・国民年金保険料の支払い免除
・経済的な不安やストレスの軽減
・就労をしていても受給可能
・障害年金には税金がかからない
・年金の使用用途は自由
■デメリット
・国民年金保険料の免除申請をすると老齢基礎年金が低額になる
・生活保護との調整がある
・傷病手当金との調整がある
・死亡一時金や寡婦年金が受給できない
・収入が130万円以上になると、社会保険の扶養から外れる
以上がそれぞれのメリット・デメリットです。障害者手帳と障害年金のデメリットを認識しておくことは大事ですが、必要以上にデメリットを意識する必要はありません。自分から言い出さなければ障害者手帳や障害年金の有無は相手には分からないものです。個人的にはデメリット以上のメリットがあると感じますので、有効活用していくことをオススメします。
④障害者手帳・障害年金の取得方法と注意点
●障害者手帳の取得手続き
1、お住まいの自治体(役場)の障害福祉担当窓口にて相談して、必要な申請書類を受け取る。
2、医師の意見書・診断書(指定の様式)を書いてもらう。
3、申請書類に必要事項を記入し、規定サイズの証明写真、医師の意見書を用意して役場の障害福祉担当窓口に申請にいく。
障害者手帳の取得手続き時の注意点
・申請をすれば必ず手帳が交付されるというわけでない!
・障害者手帳の種類によって手続きが異なるので、担当に手続きについて確認しておく!
・手帳のための診断書を書ける指定医が決まっているため、事前確認と依頼をしておきましょう!(※総合病院など大きな病院であれば指定医が在中していることも多いです。)
・診断書料がかかる!(※料金は1500円~10000円以上と病院によって異なる)
●障害者年金の取得手続き
1、お住まいの自治体(役場)の年金担当、または年金事務所の担当窓口に相談して、必要な申請書類を受け取る。
2、医師の意見書・診断書(指定の様式)を書いてもらう。
3、申請書類に必要事項を記入し、医師の意見書を用意して役場の年金担当、または年金事務所の担当窓口に申請にいく。
障害年金の取得手続き時の注意点
・申請をすれば必ず貰えるというわけでない!
・申請書の申請先や必要な書類が異なるため、担当に手続きについて確認しておく!
・発症日(初診日)に国民年金や厚生年金に加入しており、3分の2以上の保険料の納付がされており、老齢年金を受給していない!必要がある。
・症状によっては、診断書が複数必要となるため、医師やソーシャルワーカー等に相談しておく!
・診断書料もかかる!(※料金は1500円~10000円以上と病院によって異なる)
障害者手帳や障害年金の手続きには、様々な場所に問い合わせたり、必要な書類も多かったりします。そのため、申請をする際には、医師や病院にいるソーシャルワーカー、自治体の障害福祉や年金担当者、障害福祉に関係する相談支援機関の相談員、社会保険労務士などの専門家に相談しながら手続きを進めていきましょう!
また、障害者手帳や障害年金どちらも書類審査になるため、診断書を書いてもらう際には、医師やソーシャルワーカー等に日常生活はどのように暮らしているのか、どのようなことを誰にサポートしてもらっているのか、というように具体的な日々の困り感を伝えることも必要です!
⑤最後に
脳血管疾患の後遺症に悩む方が障害者手帳や障害年金を申請する場合、特例的な考え方があるようで、初めて手続きされる本人やその家族は戸惑うことも多いらしく、結局申請をしないで損をしてしまうということもあるようです。また、必要書類を取得することが結構大変、かつ、不備があって何度も医療機関へ出向いたという話を聞いたことがありますので、申請作業に疲弊してしまう方もいるようです。
ですので、もし自分たちで申請するのは・・・と言う方は、申請実績が多く様々なケースを取り扱っている専門家(社労士さん)に相談をしていくことも一つの手段だと思います。手数料を取られてしまいますが・・・。
「あなたは対象にならない」と◯◯さんに言われたことがあるんですよ・・・という人もいますが、個人的にはダメ元で申請してみるのはありだと思っています。なぜなら、最終的な受給可否は年金機構が決めるので。
以上です。最後までお読みいただきましてありがとうございます。その他、当事者さんや家族さんに向けて書いた記事がこちら!もしよろしければご覧ください!