こんにちは、てっぺいです。今回はデイサービスでとても大切な「請求業務」に関する記事を書きたいと思います。
なぜ大切なのか?
それは、提供したサービスの対価として得られるお金が1円と違わずに入ってくるかどうかは月1回の請求にかかってくるからです。いっぱい800円のラーメンなのにレジ担当者が間違って500円しかもらってなかったら最悪じゃないですか。例え799円でもダメじゃないですか。でも、この介護業界ではそれが起こりうると思うんです。なぜなら「月に1回、まとめて請求する」から。
僕自身、14の事業所に携わっていますが、「この請求という仕事の価値をどれだけの人が理解しているのか・・・」と自事業所の担当者を見ていて感じることがありました。過去形です(笑)。僕らはカイポケという介護ソフトを使っていますが、慣れてくるとほぼルーティン作業になるので、
✔️ミスったことに気づかない・・・
✔️大きな落とし穴があることを分かっていない・・・
そんな風に感じていました。
で、その原因は僕にあると反省したタイミングがありまして、担当者向けに勉強会を開催しました。それ以降、なかなか良い感じに運営できているのではないかと感じるので、今回はその勉強会の内容を記事に落とし込んでみることにしました。人間誰しもミスはありますので、請求を間違えること自体は仕方がないのですが、そのミスに気づく仕組みがあるかどうかは事業所が考えなければならない点だと思います。ぜひ本記事を読んで、工夫して、請求ミスをゼロにする仕組みを各事業所で作ってもらえたらなと思います。請求担当者や管理者にとって価値ある記事になることを願っております。
では、スタート!
- そもそも大前提として知っておくべきこと
- 国保連で何が行われているの?
- 月末に国保連から送られてくる資料って?
- それでも起こってしまうミスとは?
- 僕らが行っているミスに気づく管理方法
①そもそも大前提として知っておくべきこと
1、償還払方式と法定代理受理方式
介護保険法に基づく保険給付は基本的に償還払いです。例えば、Aさんのデイサービス利用料が5万円だった場合、まずはAさんがデイサービスに5万円支払います。そして、Aさんは保険者(自治体)へ5万円分利用したことを報告(請求)し、その9割にあたる4万5千円を払い戻してもらう方式です。
ただし、この方式をとると、一時的にせよ利用者に金銭的な負担がかかります。デイサービスだけならまだしも限度額いっぱいまで使っている人の支払額は非常に多くなってしまいます。また、自治体も大変ですよね。毎月何万人という人の請求を一人一人対応するなんて現実的ではありません。
そこで出来た方式が法定代理受理方式です。難しい名前ですが、「法に基づいて代理に受け取る方式」と考えれば覚えやすいかもしれません。では、先程のAさんを例に取ってみましょう。法定代理受理方式の場合、利用料5万円のAさんはデイサービスに5千円を支払います。そして、デイサービスが保険者へ残りの9割分を請求し後日受け取ります。Aさんは手間が省けてラッキーですよね。ですので、基本的には法定代理受理方式を利用します。
住宅改修サービス等の一部のサービスについては、償還払い方式が取られている。
2、市町村は法定代理受領方式における保険の事務手続きを国民健康保険団体連合会に委託している
タイトルに書いてしまいましたが、市町村が法定代理受領方式における保険の事務手続き委託している先が国民健康保険団体連合会なのです。通称「国保連」。図に表すと下記。
①40歳以上になると介護保険を納めます。そして、介護が必要になった場合、介護保険の申請を市町村へ行います。
②一定の審査を経て要介護等の認定を受けます。
③介護保険サービスを利用します。
④介護サービス事業者は国保連へ介護サービス費(保険分)を請求します。
⑤国保連は市町村へ介護給付費を請求します。
⑥市町村は国保連へ介護給付費を支払います。
⑦国保連は介護サービス事業者へ介護サービス費を支払います。
⑧利用者は利用料(9割ー7割)を介護サービス事業者へ支払います。
ざっとこんな感じです。ここで理解しておいてほしいのは国保連は市町村から委託して事業をしているということ。そして、なぜ請求をあげてから2ヶ月後の入金になるのか?というと、こういう流れになっていて時間がかかるからなのです。この2つを覚えておきましょう。
3、国保連へ請求する際に提出する資料
続いてですが、介護サービス事業者は請求データを作成し、毎月1日~10日までの間に国保連へ提出します。ほとんどの事業所が介護ソフトを使用していると思いますので、実際に何を提出しているのか?と聞かれると答えられない人も多いのではないでしょうか。
こちらが提出物と提出方法です。
ここのポイントは「介護サービス事業所と居宅支援事業所がそれぞれ書類を提出している」というところです。この意味は後述しますので、ここでは割愛しますが、非常に大切なことなのでしっかりと覚えておきましょう。ちなみにですが、それぞれの提出物はこんな感じです。
あーなんか見たことがあるという人もいるかもしれませんが、その程度で問題ありません。ということで次のパートにいきましょう。
②国保連で何が行われているの?
では、介護サービス事業所が請求をした後、国保連でどのような作業が行われているのか?ということを解説していきます。まずはこちらの図をご覧ください。こちらが国保連で行われている作業です。
大きく分けて赤枠部分と青枠部分のチェックがあります。赤枠チェックをクリアしたら青枠チェックに移行する二段階方式になっています。
まず赤枠チェック。これは介護サービス事業所が登録した利用者情報に誤りがないかを市町村データと突合します。例えば、介護保険番号や生年月日などの基本情報です。ここの入力をミスると再請求となります。
突合という聞き慣れない言葉が出てきましたので解説です。突合とは、資料などを並べて比較対照し、異同や整合性などを確認すること。 突き合わせること。 請求においてはこの言葉を結構使いますので覚えておきましょう。
続いて青枠チェック。ここで先ほどお伝えした「介護サービス事業所と居宅支援事業所がそれぞれ書類を提出している」意味が分かってきます。青枠の部分では何をするか?というと介護サービスと居宅介護支援事業所の提出したそれぞれの書類の合計単位数を突合します。ポイントは上限チェックと書いている部分です。中身を突合するのではなく上限を突合するのです。つまり、この加算が入ってる入ってないとか細かいことはチェックしないのです。
なんとなく分かってきたような分かってきてないような感じだと思いますので、具体例を示して説明しようと思います。
例:Aさん。要介護1で週3回デイサービスを利用(月12回利用)。
1回あたりの請求は【基本報酬415単位+個別機能訓練加算85単位=500単位】だとします。
この場合、500単位×12回=6000単位=60000円となるわけです。
で、介護サービス事業所は介護ソフトへ入力し介護給付費明細書を提出します。その際のAさんの請求単位数は6000単位。そして、居宅のケアマネさんは介護サービス事業所から提出された実績をもとに給付管理票を国保連へ提出します。その際の単位数は当然6000単位となります。そして、国保連で行われるのが上限チェック(突合)です。そうすると、「介護サービス事業所6000!居宅6000で同じね!OK!」って感じで支払い決定となります。ですので、極端な話、何月何日に利用したとかが間違っていても合計単位数が同じになれば振り込まれるということなのです。
ではどういう場合、NGとなるのか?
例えば、ケアマネさんが実績を入力する際に「Aさんは1回休んだのね!」と勘違いして11回分という給付管理票を提出したとします。つまり、500単位×11回=5500単位です。そうすると、上限チェックで6000 vs 5500となり不一致!NG!返戻!となります。
他によくあるNGパターンだと、ケアマネさんが個別機能訓練加算の入力をミスって基本報酬12回分のみ→415単位×12回=4980単位で報告して6000 vs 4980でNGだったり、そもそも給付管理票の提出を忘れて6000 vs 0になってNGみたいなことがあります。
ここで覚えておいて欲しいことは上限チェックの基準となるのはケアマネさんの数字だということです。介護サービスを提供するにあたってケアプランが最上位であるように、ケアマネさんの数字が正しいという前提でチェックが進んでいきます。
以上、ここまでをまとめると、国保連で行われていることは、「基本情報の入力が間違っていないか?」と「ケアマネの単位数と一致するか?」の二段階チェックです。だらだら書きましたが、これだけ覚えておけばOKです。
ではでは、続いて、NGとなった場合、どうすれば良いのか?ということですが、これを理解するには次のブロック(国保連から送られてくる書類)の中で説明した方が分かりやすいと思いますので、そちらでやっていきたいと思います!!!
③月末に国保連から送られてくる資料って?
介護サービス事業所が10日までに国保連へ書類を提出すると月末に国保連から書類が届きます(伝送の場合は介護ソフト内に届く形かと思います)。その中にどんな書類が入っているか?というと、こちらになります。
たくさんありますが、大切なのは1・5・6・8・9です。1はその翌月にいくら入金されるかが書いてあります。企業経営にとって最も大切なキャッシュフローがどうなるかを知る上でとても重要ですし、計上した売上通りに入金されるのかを確認するのがここの数字になります。
そして、5・6と8・9は何か?というと、介護サービス事業が「何をどう間違ったか?」が書いてある資料です。5・6もしくは8・9が資料の中に入っていたら何かしら間違っているということとなります。
「5・6と8・9の違いは何か?」ということを示しておきますが、5・6は要介護者のデータ、8・9が要支援者のデータとなっており、6と9で言いたいことは一緒です。従いまして、以下は5・6を用いて解説を進めていきたいと思います。
*ちなみにですが、4は5・6を集計したもの、7は8・9を集計したものとなります。
●まずは請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表から。実際に送られてくるのはこちらです。
チェックするのは事由・内容・備考です。
✔️ 事由はA・B・C・D・Eと記載されますが、A・Bは赤枠チェックでNGとなったものなので、介護サービス事業所が何かしらを間違っています。何を間違ったかは「内容」に書いてあります。例えば、上の表の場合、生年月日が間違っているので、入力し直して再提出です。
✔️ Cは青枠チェックで一致しなかったパターンです。この場合は介護サービス事業所もしくは居宅のどちらかが間違っています。まずは自事業所の請求に間違いがないかを確認します。ここはすごく大切です。その上で間違いがないと確認できたらケアマネへ連絡し修正・再提出をお願いします。
✔️ Dはケアマネは給付管理票を提出していないので提出してもらう必要がありますね。
備考欄に「返戻」もしくは「4 桁のエラーコード」が表示されている場合は、返戻ですので、
再請求が必要になります。
●続いては介護保険審査増減単位数通知書。ここ数年、この通知書を見ていないのですが、これは「ケアマネさんが提出した給付管理票の中に僕らの事業所情報が入っていない場合」もしくは「給付管理票の単位数の方が僕らの請求した単位数より小さい場合(少ない単位数で確定=売掛金と誤差が生じること確定です)」に発行されます。ですので、届いていない場合はそれらが起こっていないということです。サンプルはこちら。
チェックするのは事由と内容。
✔️ 事由がAの場合は給付管理票は出されているんだけど僕らの事業所の実績がないということなのでケアマネさんへその旨を伝えて再提出してもらいます。
✔️ 事由がBの場合は青枠チェックで一致しなかったパターンで、かつ、給付管理票の数字で実績が確定してしまっています。ですので、こちらもまずは、自事業所の請求に間違いがないかを確認します。もし、自事業所が間違っていた場合は何もしなくてOKなのですが、ケアマネさんが間違っている場合はケアマネさんへ連絡し修正・再提出をお願いする必要があります。
この差額分の修正をケアマネさんへお願いする場合、事前に何が間違っているのかを把握するように僕らのデイサービスでは指導しています。「間違っているので修正お願いします。」ではケアマネさんも何が間違っているのか分かりません。調べなけれななりません。ですので、「◯◯の加算が入っていないようなので再請求お願いします。」と伝えるべきだと考えています。
④それでも起こってしまうミスとは?
ここまで書いた通り、しっかりと請求業務をしたとしても起こるミスがいくつかあります。それは、ケアマネさんに給付管理票の提出を電話で依頼して「OK!」となったが、実は、ケアマネさんがそのことを忘れていて給付管理票が提出されなかったパターンです。この場合、その事実に気づかなければ一生お金が入ってくることはありません。「えっ?もしケアマネさんが再提出しなかったら翌月も返戻通知がくるんじゃないの?」と思ったあなたは要注意!このパターンは僕らにミスがないので僕たちは再請求することはありませんよね。返戻通知がくるのは突合が行われた時ですので、共に提出していないのでそれが起こりません。ですので、ちゃんと再提出されたかを管理する仕組みが必要となってきます。
⑤僕らが行っているミスに気づく管理方法
では、最後に、請求業務のミスを限りなく減らす方法をご紹介します。って、そんな大したことではありません。エクセルでもれがないかをチェックするだけです。まずはこちらをご覧ください。
これは僕らが使っている売上入金確認表です。実際の売り上げに対していくら入金されていて未回収の人が何人いるのか?を可視化したものです。毎月国保連から通知書が届いたらこれに必要事項を転記していくだけです。ポイントは合計でいくらの未回収になるかを記載するのではなく、利用者一人一人の金額で個別に記載することです。
なんか勿体ぶったのに大した締めにならなくてすみません笑。もしこのエクセルを欲しい方がいらっしゃれば僕のTwitter@teppei_bestlifeをフォロー後、DMをいただければプレゼントします。
以上です。最後までお読みいただきましてありがとうございました。