個別機能訓練加算は2021法改正によってこう変わった。デイサービス管理者必見です。

こんにちは、てっぺいです。今回は2021年法改正で大きく変わった個別機能訓練加算についてです。以前までは1と2に分かれていてややこしかった加算ですが、今回1つにまとまったので分かりやすくなったのではないでしょうか(報酬ダウンは痛いですが・・・)。とは言っても、このような悩みをお持ちの方は多いはず。

✔️新しい個別機能訓練加算って私たちの事業所でも算定できるの?
✔️返戻になったらどうしよう・・・何に注意すれば良いの?

そんなお悩みに対して本記事では、

内容

①個別機能訓練加算を算定できるデイサービスとは?
②事務処理手順の確認。
③個別機能訓練加算を算定する上で注意すべき5つのポイント。
④おまけ:個別機能訓練加算Ⅱは絶対に算定しましょう。

をお伝えしますので、ぜひ皆さんの事業所でもしっかりと算定していきましょう。

僕自身、12店舗のデイサービスで個別機能訓練加算(Ⅰ)イ+個別機能訓練加算Ⅱを算定していますし、他施設への算定のアドバイスも行っていますので、多くの事業所で算定できる加算だと思っています。職員数を増やすこともなく算定できる可能性もありますので、ぜひ一度ください。

①個別機能訓練加算を算定できるデイサービスとは?

結論ですが、以下の資格を保有するスタッフが1名以上いれば算定できます。パートの方が1人でもOK。そもそも通所介護事業所を開設するためには、機能訓練指導員が必要なことを考えてると、全事業所が(Ⅰ)イは算定できるということになります。ただし、③でも書きますが、管理者との兼務ができない点は注意が必要です。

【必要な資格】
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師
注:鍼灸師に関しては、理学療法士等がいる事業所で6月以上機能訓練指導する必要があります。

配置用件はこちら。

個別機能訓練加算配置要件

つまり、機能訓練指導員が1人の場合は(Ⅰ)イのみ算定可能。2人以上いる場合、(Ⅰ)ロを算定できる可能性はありますが、機能訓練指導員2名中1人が必ずサービス提供時間の間、ずっとデイサービスで働いている必要があります(居宅訪問で外出するのはOK)。なお、“サービス提供時間を通じて”というのがポイントで、必ずしも正社員8時間勤務である必要はありません。

ですので、極端な話、サービス提供時間が9:30-12:30の事業所で、
機能訓練指導員①:9:30-12:30まで働いてくれるパートさん
機能訓練指導員②:10:00-11:00で働いてくれるパートさん
でも(Ⅰ)ロの算定要件を満たすということになります。

大前提として、本加算は「利用者の生活機能の維持・向上を図り、住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目指すために」つくられたものであることを忘れてはいけません。ただ算定すれば良いと思っている事業所は算定しない方が良いと思います。

とは言え、僕は多くのデイサービスがこの加算を算定し、機能訓練に力を入れるべきだ考えています。これは介護保険法第92条の通所介護の目的「生活機能の維持又は向上を目指し、機能訓練をすべし」と書かれていることから間違いないと思います。

通所介護の目的

というか、むしろ、この先、この加算を算定していない事業所は生き残れないのではないかとさえ思っています。加算を算定して、かつ、成果を出すということがデフォルトになるでしょうね。

ちなみに、報酬は(Ⅰ)イが56単位/日、(Ⅰ)ロが85単位/日。1回で29単位の差。僕らのデイサービスだと月の延べ利用者数が550ぐらいなので、550×290円=159,500円。つまり、(Ⅰ)ロを算定するためだけに機能訓練指導員を一人追加するというのはナンセンスかなって思います。収益だけのことを考えると。ということで看護師さんが看護職員と機能訓練指導員を兼務して(Ⅰ)ロを算定がベストですね(個人的な見解です)。

②事務処理手順の確認

続きまして、算定した場合にやるべきことです。介護事業は書類が命。1つでも抜けていたら返戻。管理者は下記の流れに沿って資料が全てあるかをチェックしましょう。なお、(Ⅰ)イも(Ⅰ)ロもやることは一緒です。

1、アセスメント
2、多職種協働した根拠資料
3、計画書作成
4、計画書にサインをもらう
5、ケアマネへ計画書コピーを提出
6、モニタリング(評価)
7、居宅にてアセスメント
*7の後は2に戻ってグルグル回していきます。

それぞれについてもう少し詳しく記載していきます。

1、アセスメント

機能訓練指導員等が居宅で行うことを推奨します。僕らの場合、生活相談員が担当者会議の後に実施することが多いです。やることは「利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握及び心身の状態の確認」。

機能訓練指導員等=機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種の者
*全員やんwww

厚生労働省が活用しなさいと言っている参考書式が下記3つですね。
別紙様式3-1 興味関心チェックシート
別紙様式3-2 生活機能チェックシート
・ケアプラン

*僕たちは独自のアセスメントシートを作って上記を満たすようにしています。

2、多職種協働した根拠資料

アセスメントを基に計画書を作成するのですが、機能訓練指導員等が多職種協働で作成しなければならず、その根拠を求められることがあります。たとえ、毎日、計画書作成のためのミーティングをやっていたとしても、その根拠を示せなければ返戻になる可能性があります。僕たちは多職種会議議事録といものを残すようにしています。

3、計画書

厚生労働省の参考様式はこちら。僕たちは通所介護計画とがっちゃんこして作っています(総合実施計画書という名前で)。別々に作るよりは生産性がアップしますのでオススメです。

〈計画書を作る上での注意点〉
・長期目標は「心身機能」「活動」「参加」へバランスよく働きかけたものであること。
・複数のプログラムを用意する。
・作成者は誰でも良いですが、管理者名にしておいた方が無難です。

目標設定の方法:ポイントは「心身機能」「活動」「参加」へバランスよく働きかける。従来の加算1と2がセットになったと思えば良いですね。

例えば、A さんの課題が歩行だった場合、「安定した歩行ができるようになる」という目標では不十分。ここで考えたいのが、「なんで歩行を安定させたいの?」というWhyの質問。その答えが「トイレに間に合わないことがあるから・・・」ということであれば「トイレに安心していけるようになるために安定した歩行をできるようになる。」という目標になる。そして、ここに参加を加える。アセスメントで引き出したAさんにとっての役割や生きがいを。例えば、公民館での会合に参加したいというニーズがあれば、「トイレに安心していけるようになるために安定した歩行をできるようになる。そして、仲間のいる公民館の会合にも参加できるようになる。」となれば実地指導でも指摘されることはないでしょう。

*厚生労働省の例題に「孫とメールの交換をする」ってあるけど、おそらくこの目標だけではダメで、追加で心身機能への目標も設定しておいた方が無難だと思います。

4、計画書にサインをもらう

厚生労働省の参考様式にはサインをもらう所がありませんので注意しましょう。絶対に利用者もしくはそのご家族のサインをもらっておきましょう。そして、「誰が」「いつ」説明したかも残しましょう。なお、説明は誰がやってもOKで、説明する相手は利用者かその家族のどちらかでOK。ただし、認知症などの方の場合、ご家族へ説明した方が良いと思います。

ここで注意しないといけないのが、「交付したかどうか」の根拠資料。計画書はそのコピーを利用者またはその家族に交付しなければなりません。実際に交付してもその根拠書類ってないですよね?ですので、僕らは、計画書のサインをしてもらう部分に下記文章を入れています。

「体力測定等の評価結果ならびにサービス提供による効果、リスク、緊急時の対応等について説明を受け、内容に同意し、交付を受けました。」

参考にしてみてください。

5、ケアマネへ計画書コピーを提出

6、モニタリング(評価)

3月に1回、モニタリング(評価・振り返り)を行う。これは参考様式がないんですね。内容は訓練内容や実施時間が適切だったか?目標に対して進捗はどうなのか?ADLの改善状況は?など。モニタリングはケアマネージャーへも提出しましょう。

7、居宅にてアセスメント

・3月に一度、居宅を訪問する。基本的には生活相談員が良いかと思います。居宅を訪問した日時は必ず記録しておきましょう。僕たちはアセスメントシートに記載するようにしています。
・居宅訪問で実施することは2つ。1つは、この3月のモニタリング結果を利用者または家族へ報告。もう1つは、生活にどのような違いが出ているかをアセスメント。1のアセスメントシートを使用する形で良いかと思います。

個別機能訓練加算を算定する上で注意すべき5つのポイント。

✔️ 管理者が機能訓練指導員の場合、その人は加算担当の機能訓練指導員になれない。
「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A (Vol.3)(令和3年3月 26 日)」vol.952の問58を見た時、「まじかっ!」って思ったのを覚えています。それがこれ。

個別機能訓練加算Q&A

僕らのようなリハビリ特化型デイサービスは機能訓練指導員が管理者を兼務しているパターンは結構あるからきつい・・・。なんとか抜け道がないか探したがが無さそう。自治体によってはOKなところもあるみたいですが、文書で出ていない以上リスクは取れない。ということで、この点は注意すべきだと思います。

✔️ 長期目標は単に座る・立つ・歩くといった身体機能の向上を目指すことのみではNGです。目標を何にするかは、利用者さんの成果という観点においても非常に重要ですのでしっかりとチェックするようにしましょう。

✔️ 書類の抜け漏れチェックと日付の整合性
しつこいようですが、個別機能訓練加算を算定する上において大切なことは下記の流れで日々の業務が行われているかです。

アセスメント 計画書作成 実施 モニタリング

誰が見ても「あー間違いなくこの流れでやってるね!」とならなければなりません。その上で絶対に必要なのが書類。そして、万が一、書類を書き忘れた場合などに注意が必要なのは「日付の整合性」です。上記の1〜7は必ずこの順番でなければなりません。計画書の作成日よりアセスメントの日付が後になっていてはダメです。また、計画書の作成日が初通所日よりも後になっていてもダメです。この辺りのチェックは管理者の重要な仕事だと思います。チェック表を作るなど工夫をすると良いですね。

✔️ 日々の記録
・訓練内容、実施者、実施時間は毎回記載。
・実施者は本加算を担当する機能訓練指導員の名前を記入。(Ⅰ)ロを算定している場合は2人の名前を書いておけば間違いないですね。

✔️3月に1回と3ヶ月に1回は違うので注意が必要。
これは介護業界特有の表現だと思いますが、よく3月に1回という表現が使われます。これは3ヶ月に1回とは微妙に意味が異なります。

例えば、2021年10月10日から通所をスタートした場合・・・
3月に1回の居宅訪問とあれば、10月10日〜12月31日までの間で居宅訪問をすれば良いのに対し、3ヶ月に1回は10月10日〜1月9日までに居宅訪問すればOKです。つまり、後者の場合、1月5日に居宅訪問をしてもOKなのですが、前者のパターンではNGとなります。

ですので、新規の利用者さんで月途中から通所スタートの場合、計画書の日付を注意するなど、居宅訪問の日程を間違えないようにしましょう。

④おまけ:個別機能訓練加算Ⅱは絶対に算定しましょう。

加算Ⅱは個別機能訓練Ⅰの内容をLIFEへ提出するのが条件です。報酬は月20単位と少額ですが、個人的には絶対取るべき加算だと思っています。理由は次の法改正でも焦点になるから。そしてADL等維持加算の報酬が10倍になったようにこの加算も報酬があがる可能性はあると思っています。10倍になったら月2000円ですからその時は間違いなく多くの事業所が算定に動くでしょう。だったら、今からでもちょっとずつ算定をはじめた方がいい。従業員が嫌なのは急に訳のわからない業務が降りかかってくること。毎月3人ずつ入力していきましょう!っていう形で取り組めば3年後には全員算定していて、その時には、やることは変わらずに報酬だけ上がる!という状況を作り出せるかもしれません。


というわけで以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。「これってどうなってるの?」などがあればTwitterからどうぞ。必要であれば追記します。Twitterはこちら⇨てっぺい@teppei_bestlife

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