こちらの記事は令和6年度の介護報酬改定前に書いた記事です。現在の料金は若干異なりますので、令和6年度の法改正に伴う料金変更に関してはこちらの記事を参照ください。
こんにちは、てっぺい(@teppei_bestlife)です。いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
突然ですが、訪問看護をスタートしてこんな事を聞かれたことはありませんか?
訪問看護っていくらぐらいかかるの?
この質問に端的に答えることができる人はめちゃくちゃ優秀だと思います。僕自身、訪問看護ステーションを4店舗運営していますが、いまだにどう回答すれば良いか悩むことがあります。
ましてや、病院から転職してきた新入社員はなおさらです。病院では料金のことなんてほとんど聞かれませんもんね。それに加えて、訪問看護は医療保険だけでなく介護保険もあり複雑です。
とはいえ、利用者さんのご自宅へ1人で訪問する以上、料金のことある程度理解する必要がありますし、管理者は新入社員に恥をかかせないためにもその辺の教育をする義務があります。
ということで、今回は、僕が訪問看護ステーションの管理者として新入社員に教えるなら「こんな資料があったほうが良いな!」という思考で訪問看護料金の解説記事を書いてみようと思います。ぜひ参考にしていただけたらなと思います。なお、説明を分かりやすくするために、細かい部分を省いていますので、その点はご理解くださいませ。
ではスタート!!!
- 訪問看護利用フローチャート
- 医療保険の料金表
- 精神科訪問看護指示書が交付された利用者さんの場合
- 介護保険の料金表(4-1 要介護の方、4-2 要支援の方)
①訪問看護利用フローチャート
訪問看護を利用する場合、医療保険を使うのか?介護保険を使うのか?によって料金が変わってきます。ですので、まずは対象の利用者さんがどちらの保険を使うのか?を説明できなければなりません。そのためのフローチャートがこちらです。
年齢や疾病・現在の状態によって変わってきます。慣れてくれば、どちらの保険を使うのかは割と簡単です。ぜひ色々な利用者さんでシミュレーションしてみてください。なお、特定疾病や別表7・8は下記をご確認ください。
特定疾病
①末期がん ②関節リウマチ ③筋萎縮性側索硬化症(ALS) ④後縦靱帯骨化症 ⑤骨折を伴う骨粗鬆症 ⑥初老期における認知症 ⑦進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患) ⑧脊髄小脳変性症 ⑨脊柱管狭窄症 ⑩早老症 ⑪多系統萎縮症(MSA) ⑫糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 ⑬脳血管疾患 ⑭閉塞性動脈硬化症(ASO) ⑮慢性閉塞性肺疾患(COPD) ⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)
①末期の悪性腫瘍 ②多発性硬化症 ③重症筋無力症 ④スモン ⑤筋萎縮性側索硬化症 ⑥脊髄小脳変性症 ⑦ハンチントン病 ⑧進行性筋ジストロフィー症 ⑨パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上で あって、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る) ⑩多系統萎縮症(線条体黒質変性症,オリーブ矯小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群 ⑪プリオン病 ⑫亜急性硬化性全脳炎 ⑬ライソーゾーム病 ⑭副腎白質ジストロフィー ⑮脊髄性筋委縮症 ⑯球脊髄性筋委縮症 ⑰慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ⑱後天性免疫不全症候群 ⑲頸髄損傷 ⑳人工呼吸器を使用している状態
厚生労働大臣が定める状態等(別表8)
①在宅悪性腫瘍患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者 ②在宅自己腹膜灌流指導管理,在宅血液透析指導管理,在宅酸素療法指導管理,在宅中心静脈栄養法指導管理,在宅成分栄養経管栄養法指導管理,在宅自己導尿指導管理,在宅人工呼吸指導管理,在宅持続陽圧呼吸療法指導管理,在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者 ③人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者 ④真皮を越える褥瘡の状態にある者 ⑤在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
②医療保険の料金表
医療保険の料金は3つの合計から算出されると覚えてください。その3つが「基本療養費」「管理療養費」「加算」です。どんな利用者であっても1回の訪問ごとにかかかる費用は「基本療養費+管理療養費」でこれが基本料金みたいな位置付けで、そこに(該当する利用者のみ)加算が追加されるイメージです。
そして、実際に利用者さんがいくら払うかを決めるのが、健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険等の加入している保険の負担金割合です。これは1〜3割。所得等によって変わってきます。
これを式にすると、
(基本療養費+管理療養費+加算)× 負担割合 = 自己負担額
簡単ですよね。では、次にそれぞれの金額です。まずは基本療養費と管理療養費。こちらになります。
基本療養費は週4日以降利用できる方の場合、4日目から7日目が1,000円値上がりする形ですね(ちなみに週は日曜日から始まりますのでお間違い無く)。一方、管理療養費は月の初回のみ金額が異なり、以降は全て3,000円となります。
続きまして、加算です。加算はたくさんありますので、個人的に覚えておいたほうが良いものだけをピックアップしました。
意外とたくさんありますね。とはいえ、これらは頻繁に使いますので、ぜひ覚えておきましょう。
ではここで「実際にいくらぐらい支払うのか?」を計算してみましょう!ケースをいくつか記載しますので一緒にチャレンジしてみましょう。
なんとなく理解できたのではないでしょうか?ということで、次の章にいきます!
③精神科訪問看護指示書が交付された利用者さんの場合
①の訪問看護利用フローチャートで医療保険を使う事となった方の中で精神科を担当する主治医が精神科訪問看護指示書を交付する利用者さんがいらっしゃいます。料金体系はほぼ一緒だと思っておいてもらって構いませんが、大きく違う部分で2つありますので必ず覚えておきましょう。
【違い①】
その一つ目が自立支援医療制度の存在です。医療保険の場合、負担割合は基本的に1割~3割ですが、自立支援医療制度が適用になる場合はその負担割合が1割となります。また、自立支援の場合、所得に応じて負担上限額が設定されており、同月内に病院や薬局で支払った金額も考慮して、自己負担額を算出する必要があります。
*こちらの表は厚生労働省の自立支援を説明するページから抜粋したデータで分かりやすくまとまっているので参考にしてみてください。
データ最下部の月額医療費の負担イメージをご覧いただくとイメージしやすいかと思います。
では「実際にいくらぐらい支払うのか?」を計算してみましょう!
どうですか?ややこしいっすよね。自立支援の方の自己負担額を計算するためには、毎月、自己負担上限額管理表を確認する必要がありますので、その辺の仕組み化は重要かと思われます。
と、もう一つ通常の医療保険とは違うところがありました!それが・・
【違い②】
基本的には週3日までしか訪問できませんが、退院後、3月以内の期間は週5日まで訪問看護を利用することが可能です。これは訪問看護ステーションとしては非常にありがたい制度なのでぜひ有効に活用しましょう。
④介護保険の料金表
いよいよラストの章。介護保険を使った場合についてです。医療保険との大きな違いは管理療養費がないことです。基本料金と加算で利用料を算出し、そこに負担割合1〜3割をかけて自己負担額を算出します。
これを式にすると、
(訪問時間に応じた基本料金+加算)× 負担割合 = 自己負担額
となります。
なお、介護保険の場合、看護師の訪問回数に制限はありませんが、リハビリ職の訪問は週120分までとなっていますので、注意してください。
介護保険の場合、訪問時間に応じて基本料金が変わりますので、その辺を見てみましょう。
4-1 要介護の方の基本料金と主な加算
4-2 要支援の方の基本料金と主な加算
いかがですか?
確認の意味も込めて一つ利用料を計算してみましょう。
以上です。上記の内容が理解し説明できるようになれば、あなたも立派な訪問看護師、訪問セラピストです。ぜひ何度も読み返して理解し説明できるようになりましょう!最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。